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理事長トピックス

平成29年度辞令交付式 理事長挨拶

 皆さん、二松學舍への入舎おめでとうございます。大学、高等学校、中学校の教員、職員と配属部門は違いますが、皆さんが教育・研究を使命とする「二松學舍」の新しい仲間となったことを、心より歓迎します。また本日新しく役職に付かれた方、昇格された方、役職に再任された方は、心を新たに校務に精励して頂きたいと思います。

 さて、本学は、本年創立140年目を迎えます。明治10年、まさにこの九段の地に漢学塾二松學舍が創設されました。これが本学のルーツです。本学は、我が国でも有数の長い歴史と伝統を有する学舎であり、二松學舍大学、附属高等学校、附属柏中・高等学校を設置しています。本年の周年記念として、数々の事業を企画しておりますが、最近テレビや新聞で報道されている夏目漱石アンドロイドの製作・公開もその一環です。記念シンポジウム等多彩なイベントも用意しております。皆さん、一緒に140周年を盛り上げていきましょう。

 本学は、5年前、2020年の二松學舍大学、両附属高校、中学校の在り方を描いた長期ビジョン「N’2020 PLAN」を作成し、公表しました。ご存知のとおり少子化が進展している昨今、本学の学生募集力等競争力を強化していく必要性、グローバル化や知識基盤社会化など世の中が構造的に変化していく中で、高等教育・中等教育の教育内容もそれに応じて変えていく必要性など、経営・教育両面で改革を進めていくことが不可欠です。現在その実行プランである、期間5年のアクションプランを遂行しており、29年度はその4年目に当たります。
長期ビジョン「N’2020 PLAN」は、5本の柱で構成されています。

1.建学の精神と二松學舍憲章の制定
2.設置校の教育改革の推進と質的レベルアップ
3.学生支援のための包括的対応策
4.設置校のキャンパス整備
5.財務・組織各制度の在り方

この長期ビジョン実現に向けた、年度ごとのアクションプランには、170の課題があり、その中でも特に力を入れているのが、教育改革です。この改革は、卒業後の進路、いわゆる出口対策を意識して進めていく必要があります。そして、現在、更に10年先を目標に据えた長期ビジョン「N’2030 PLAN」を策定中です。

 二松學舍大学は、本年4月から、文学部で実に67年ぶりの新学科「都市文化デザイン学科」がスタートしました。そして国際政治経済学部においても、25年ぶりの新学科「国際政治経営学科」を来年4月にスタートさせるべく、届け出を行い、3月31日付で、文部科学省が受理した次第です。

 大学では、先ほど、教育改革には不可欠とお話した出口対策においては、教員、行政職公務員、上場企業への就職実績を上げていかなければなりません。中学校、高等学校については、生徒募集力を維持・強化していくため、超難関大学、難関大学への進学率を引き上げていくこと、そのための教育方法の工夫等を講じていくことが必要です。平成28年度は、附属柏中学校・高等学校において、東京大学に2名、ほか国公立大学に13名の現役合格を達成するなど、柏中学校・高等学校が千葉県内の一流校になりつつあり、アクションプランの一連の成果が出てきていると、感じております。

 さて、私学を取り巻く環境は、厳しさが増すばかりです。18歳人口は確実に低下していきます。これに加え、多くの有力私立大学が都心回帰をしており、自由民主党の「まち、ひと、しごと創成本部」では、東京一極集中是正のため、東京23区内での、大学の新設、学部の新設等を制限する動きがあります。また文部科学省では、教育の質担保のため、従来は1.3倍まで容認していた定員に対する入学者実数を今後段階的に、倍率を引き下げるとしており、2019年度からは1.0倍を超える分は補助金を返納しなければならなくなります。また学部・学科の新設についても、開設年度の前年度4年間の定員倍率が1.15倍未満であることなどの条件も加わります。したがって、こうしたさまざまな動きを展望しつつ、常に計画を見直しながら、学部改革を行っていく必要があることから、アクセルを踏み続ける結果となっておりますことを、理解していただきたいと思います。

 最後にお願いをしておきます。皆さんは、配属された部局で、担当している仕事の質を、今よりも引き上げようと常に意識して、今後精励していただきたいと思います。全員がこのような心掛けで進んでいけば、二松學舍全体の質も引き上げられる結果となり、教育界におけるブランドも結果的に上がっていくことになります。

 今後よき教員、よき職員として、心身共に健やかで、より充実した職場生活を送られることを祈念して私の挨拶といたします。