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理事長トピックス

「論語の学校」開会挨拶(平成25年11月6日)

 皆さんこんにちは。学校法人二松学舎主催の論語の学校、今年で9回目の開催になります。今年もかくも多数の方々にお集まりいただき、盛会となりました。誠にありがとうございます。
 本学は今年で創立136年目を迎えております。明治10年に本学の前身であります漢学塾二松学舎が、この地に創設された時の建学の精神は、「東洋の精神による人格の陶冶」、「己を修め人ヲ修め一世に有用なる人物を養成する」となっており、この意味するところは、中国の孔子、孟子など儒教の先師の教え「人として踏み行うべき正しい道」すなわち、「道徳心を身につけ、倫理観を醸成することが、人材育成上不可欠」ということを意味しており、本学は、二松学舎大学、附属高等学校、同柏高等学校、同中学校の4つの設置校において、この教えに原点を置き、教育を展開しております。
 さて、つい先月アンパンマンの作者なやなせたかしさんが、亡くなりました。NHK特集でやなせさん追悼ドギュメント番組を放映しておりましたが、やなせさんがアンパンマンの最初の原稿を、出版社に持ちこんだところ、出版社の担当者が、これは売れないと一蹴される一こまがありました。しかし、やなせさんは、是非発行して欲しいと、強く依頼し出版、途端に、2~3歳位の幼児から小・中学生までの層に大きな支持を受け、大ヒットになり、書籍の累計出版部数は6500万部という大ヒットに、なったということです。出版社がアンパンマンの何がいいのか多くの子供に聞いてみたところ、アンパンマンはおなかを空かせた困った人がいれば、アンパンで出来ている自分の頭を食べさせるところがいい、「正義の味方」だといったそうです。このように、「正しいことをするという心」は、2~3歳の幼児の中にも本来的に備わっている精神であると、人間本来の精神であると言えると思います。あちこちで論語の素読を幼児教育の一貫として行っておりますが、こうしたエピソードからも、「正しいことをするという心」は小さい時から育んだ方がいいということでしょう。
 これまで、論語は、「日本人の精神と道徳の根幹」であり、これを通じて人としてあるべき姿、正しい生き方や人との付き合い方などを知らず知らずのうちに学んできているといえます。本学は、このような論語の素晴らしい教えを、わかり易く解説するとともに、この教えを元にさまざまな活動を実践している各業界(教育現場、実業界、奉仕活動など)の方々をお招きして、論語の秘める力などをご紹介頂き、論語を読み解く力、論語リテラシー、を涵養して頂ければと思い、開催しております。
 さて、今年は、恒例の牧角悦子本学中国文学科教授による論語入門、石川本学顧問によります論語素読実践のほか、メインの講演では、著名な中国文学者守屋洋氏をお招きし「論語と中国古典」と題する講演を、また本学文学部国文学科、瀧田教授による「武者小路実篤と論語」をご講演頂きます。どうか最後までご静聴いただき、質疑応答にも積極的にご参加頂きたいと存じております。