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第16回 担当教員 荒井 裕樹  専門 日本近現代文学

第16回 表象メディア講義⑤(旧カリキュラム名「小説作法実践」)

講義内容

 「表象メディア講義⑤」は、簡単に言うと、「小説を書く」ことを目的とした授業です。「小説を書く」と聞くと、ものすごくハードルが高いと感じる人も多いでしょう。でも、受講生のほとんどは「小説初挑戦」です。はじめはまったく言葉が出てこなかった受講生も、一年間を通じて受講すると、なんだかんだで、それぞれ素敵な小説を作り上げます。

講義からの豆知識

授業風景

 「小説家になれとは言わないけれど、小説は書いた方が良い。みんな、小説書いてみちゃえ」とは、作家・星野智幸さんの言葉です。小説は言葉で作り上げる虚構の世界。言ってみれば「嘘」の作り物。でも、そんな「嘘」のつき方に、「その人の、隠しきれないその人らしさ」が出てしまうようです。
 一回、小説を書いてみると、驚くほど多くの「気付き」があります。自分が意識してない口癖とは何か。自分のボキャブラリーにはどんな偏りがあるのか。自分はどんなドラマを「かっこいい」と思っているのか。どんなシチュエーションを「美しい」と感じているのか。自分の「画になる!」という感動の基準は何か・・・・・・などなど。「小説を書く」ことは、そんな「隠しきれない自分らしさ」と出会える(出会ってしまう?)機会だと思います。
 「普段は気づかない自分の価値観に触れること」は、ちょっと恥ずかしかったり、けっこう衝撃的だったり、衝撃を超えて愕然としたりすることもありますが、「そんな自分を許してあげる」ことも、この授業の目的です。

私の授業へのこだわり

 春セメスターでは、「言葉で世界を作る」ことを体験してもらうために、毎週お題を出して、即興で文章を書いてもらうワークショップが中心です。秋セメスターは、じっくりと時間をかけて一つの短編~中編小説を書いてもらい、受講生みんなで合評会をおこないます。担当教員(荒井)も、ときどき監督者の立場からおりて、受講生に混じって参戦します。
 年間を通して「自分の文章を他人に読んでもらう」ことを一番大切にしています。自分の言葉で生み出した謎めいた世界が、他人の言葉という鍵で解かされると、想像を超えた姿を見せることがあります。人生のうちに一回くらい小説を書いてみたいと思っている人、ぜひ門をたたいてみてください。

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