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第14回 担当教員 中川 桂  専門 日本芸能史

日本芸能史(芸能・演劇研究④ A・B)

講義内容

 この講義では、近世(江戸時代)の落語の歴史を講義しています。春セメスターでは主に近世の初期から中期まで、秋セメスターでは中期から後期までを扱い、年間通して受講してもらうと近世のひととおりの落語史が理解できるように進めています。なお、現時点ではこの講義は隔年開講の設定になっています。

講義からの豆知識

授業風景

 落語の歴史を学ぶ講義など、日本全国の大学でも皆無…とまでは、さすがにいかないかもしれませんが、おそらく数校を数える程度でしょう。世間では落語の歴史なんて本当に知られていないということを日々痛感しており、この講義では文献資料に基づいて落語の歴史を学問的に(当然のことですが)講義しています。落語は江戸と上方で発達したため、その両方を扱う結果になり、その点も興味深いところです。
 落語という芸能は江戸初期から始まりますが、そこから現在まで流れが通底しているわけではありません。今につながる流派や演目の継承が明瞭に確かめられるのは江戸後期からです。そして、今も盛んに見られる、メイクや小道具を使っての物まね芸と落語が分離するのは、江戸後期にさしかかる頃からではないか、というのが文献からの推定です。江戸初期には「落語」という名称もなく、「軽口噺(ばなし)」など、いくつかの呼称が使われていました。その頃の噺家の亭号は「米沢」「鹿野」など…。現在は馴染みがありません。江戸後期に見られる亭号には「桂」「三遊亭」などがあります。これらなら、今につながることが実感できるのではないでしょうか。

私の授業へのこだわり

 受講学生の側が、たとえば古典文学や近・現代の文学と決定的に異なるのは、おそらく落語について高校までにはマトモに学んだことがない、場合によっては落語もちゃんと聴いたことがない、という点でしょう。ですので、歴史的な話題が現在の落語への興味につながるように、映像はもちろん、時には講義者自身が落語を演じたり、また(写真のように)落語研究会の学生にも演じてもらうなどして、実際に落語を鑑賞してもらう機会を設けています。そのいっぽうでは近世の文献資料をプリントで読むことが毎時の内容であり、いずれにしても「近世(から続く)文化」に触れてもらうことを、主なねらいとしています。

受講生の落語
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