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第9回 担当教員 五月女 肇志  専門 中世文学

国文学演習③(中世文学)

講義内容

 兼好法師の随筆『徒然草』の解読を行います。昔の人が読んだ本を実際に用いて読みます。240を超える章段から成る徒然草から自分の好きな文章を選び、徹底した調査の上解読し、その成果を他の受講生の前で発表する授業です。

講義からの豆知識

 古典文学は、学校で習う教科書のような印刷された文字表記で読まれてきたわけではありません。江戸時代に入り印刷術が発達するまでは、筆で写され広まっていました。写本と呼ばれるそのような本に書かれる文字には、崩し字、変体仮名という、現在印刷された本では使われないものがあります。句読点、濁点、半濁点はほとんど用いられません。以上のことを前提に授業では写本の読み方を学びます。
 授業で解読する正徹本は、室町時代の歌人である正徹が写したものです。永享3年(西暦1431年)4月12日に本が完成した旨の説明が記され、現在残っている中で最古の写本です。現在私たちが教科書で読んでいる『徒然草』の文章と異なる表現も少なくありません。なぜ異なるのかを授業で考えます。
 文章の解釈に用いる参考書類として、『日本国語大辞典 第二版』(小学館)、『日本語文法大辞典』(明治書院)、『歌ことば歌枕大辞典』(角川書店)など専門的なものを活用します。

私の授業へのこだわり

授業風景

 『徒然草』は入学前に中学、高校の国語の授業で親しんできた人も多く、自分なりのこだわりを持って受講する人も少なくありません。そこで教科書には徒然草全文が入っているものを使用し、発表担当については、その中から自由に選択してもらっています。受講生の発表希望箇所を聞いたら、それに合わせた解読のためのプリントを一人一人のために作成しています。
 また、写本に親しんでもらうため、私が持っている他の作品の写本も教室に持ち込んで手にとってもらっています。金箔を貼っているなど豪華なものもあって、現在の本の形態と異なる点に興味を抱く受講生も少なくありません。授業で用いる写本についてはカラー写真を印刷して毎時間配布しています。
 解読にあたっては高等学校までに習う文法や単語の知識も活用しますが、作者兼好がどのような気持ちでその言葉を選んだのかをしっかり説明し、受験のための丸暗記とは異なることを理解してもらうよう努めています。

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