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第4回 担当教員 山崎 正伸  専門 平安朝の和歌と歌語り歌物語

対照言語学研究③(日本語と韓国語)

講義内容

 一人の歌人の歌をまとめた個人歌集を私家集と言います。秘蔵されていた多くの私家集が公開された今、私家集は、研究材料の宝庫と言えるでしょう。この授業では、勅撰集や歌語り歌物語作品と対比しながら、私家集の魅力に迫ります。

講義からの豆知識

 私家集の歌が、勅撰集や歌語りに、どう取捨選択されるか、その動態を見るのは面白いです。たとえば、女流歌人伊勢が宇多天皇の譲位頃に詠んだ歌と宇多天皇の返歌が、 亭子の帝のおりさせたまはむとせさせ給ひし時の秋
白露の置きてかかれる百敷のうつろふ秋のことぞ悲しき(238)
別るれどあひも思はぬ百敷を見ざらんことのなに悲しき(239)
と、弘徽殿の壁に書きたるを、帝御覧じて、かたはらに
身一つにあらぬばかりぞおしなべて行き返りてもなどか見ざらん(240)
と、『伊勢集』では三首ありますが、『後撰和歌集』と『大和物語』では、239・240だけが、贈答歌として採られています。そして、240番歌の解釈が様々でした。それは、宇多醍醐朝の中宮が母后だったことが理解されていなかったことに起因します。古典文学は、当時の社会制度や政治や慣習やなどを知ることで面白くなる学問なのです。

私の授業へのこだわり

渡邊先生画像

 古典は面白いからこそ、千年以上も読み継がれていると思っています。ですから、授業の準備をしながら、ここが面白い、これが面白いのだと、面白搜しをしています。勿論、なかなか見つからずに、朝を迎えたこともあります。面白さを語れなかった時には、学生に寝てくださいとお願いしています。そうなったら、どこかで反省の一杯をひっかけて帰りますという約束になっています。それから、大学の授業ですから、大学ノートと言われるノートが、一册一杯になるくらいの授業をしたいと思っています。この授業では、扱う私家集は、西本願寺本の複製や、正保四年版本、群書類従本の版本や写真などを用意し、関係する勅撰集や『伊勢物語』『大和物語』などは、本文や古注なども、複製や版本を準備して、四つめ綴、列帖装、粘葉装などの装丁についても具体的に作り知ってもらいたい。また歌絵や歌仙絵なども、できる限り具体的な物を見せて話をしたいと考えています。

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