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第3回 担当教員 渡邊 了好  専門 日韓対照言語学、日本語教育、韓国語教育、韓国研究

対照言語学研究③(日本語と韓国語)

講義内容

 日本人受講者には韓国語という鏡に映る自分(日本語)の姿が見えるように、韓国人受講者には日本語という鏡に映る自分(韓国語)の姿が見えるように、両言語の音韻、文法、語彙の意味、文字、文化等を調べて行きます。

講義からの豆知識

 「あなたは何を勉強しますか」留学したての頃、日本語を話すご老人に聞かれて、これから何を勉強するのかと聞かれたのだと思って「言語学です」と答えたために「今、言語学を勉強している」ことになってしまったことがあります。日本語動詞「~ます」の形は主に未来のことになるのに「~ます」に当たる韓国語は未来のことも現在進行中のことも述べるのです。
 韓国語の「結婚しましたか」は相手に既婚か否かを問うのですが、日本語で今の既婚未婚を問うなら「結婚していますか」でしょう。韓国人の感覚からすると「結婚している」はとても奇妙です。今結婚式を挙げているところを思い浮かべる人も多いでしょう。「花が咲いています」も同様です。韓国語の感覚なら桜の満開も「咲きました」です。「咲いています」は今蕾が開いて行く過程でしょう。「◯◯さんは10年前に死んでいます」これは韓国人がひときわ奇妙に感じる日本語です。

私の授業へのこだわり

渡邊先生画像

 言語学は本来、言葉という記号を研究する学問ですから対照言語学も言葉の世界が守備範囲で、実在する世界とは一線を劃すと考えるのが普通です。ですが、私は対照言語学は、生身の人に接するためのものだと思っています。ここには世界の認識という複雑な議論が必要ですが、対照言語学は記号(言葉)の外に言葉を包み込む世界が実在すると考える人の言語学だというのが私がこだわる考え方です。私は日本人と韓国人が触れ合い愛憎が交錯して生きる場面を常に考えます。そんな所で果たして言葉は本当に通じるのでしょうか。私は十数年の韓国生活と40年以上に及ぶ韓国人との関わりの中で、何度も自分の言葉が伝わり理解されているという実感に出会いました。彼等と共に言葉を通して言葉を越えた世界を見たと思います。彼等の見る世界を私も見るとはどういうことか、そこに言葉がどうかかわるのかを追求するのが私の対照言語学研究③(日本語と韓国語)です。

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