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第2回 担当教員 増田 裕美子  専門 比較文学

比較文学・文化研究①A・B(日・欧米比較文学・文化研究)

講義内容

 イギリスの作家シェイクスピアの作品『ハムレット』について、翻訳テキストを使用しながら内容を理解し、『ハムレット』が日本の近代文学に与えた影響を様々な事例を通して検証していく。

講義からの豆知識

 シェイクスピアは現在世界中で最も多く上演されている劇作家です。日本でも常に上演されている人気作家です。なぜそんなに人気があるのでしょう?

  • 登場人物が豊かな人間的魅力にあふれていて、たとえ悪役でもその悪の圧倒的な力に読者、観客は引きつけられる。
  • 名セリフが多い。たとえば「きれいは汚い、汚いはきれい」(『マクベス』)「この世はすべて舞台。男も女もみな役者に過ぎぬ」(『お気に召すまま』)などなど。

英語の原文はどんなに深刻な悲劇でも駄洒落や地口といった言葉遊びが満載で、『ハムレット』の主人公ハムレットも言葉遊びの達人です。
 さてシェイクスピアの活躍した時代は16世紀から17世紀の初めにかけて。この時代、役者は皆男性で、女性の役は声変りをする前の男性が演じました。またシェイクスピアは18歳で8歳年上の女性と”できちゃった婚“をして、20歳で3児の父になりました。その後彼は田舎に妻子を残してロンドンへ行き(単身赴任です)劇作家として大活躍します。

私の授業へのこだわり

 英語の原文は400年前の英語で現代の英語とはかなり異なり、またブランク・ヴァ―スという詩の形をしていて口語体ではありません。
 でもシェイクスピアの作品は(シェイクスピアに限らないと思いますが)言葉が命です。ですから翻訳で読み進めていきますが、面白い言葉遊びや大事なセリフは原文の英語を提示して少しでも原文の面白さを味わってもらうようにしています。
 また作品を理解するためには実際に舞台での上演を見ることが不可欠です。でも劇場に行ったり劇団を招いたりすることは難しいので、授業時にビデオの映画を見てもらっています。英国人の俳優が演じていてもちろん原文通りの英語を話しています。テキストを読むこととパフォーマンスを見ることとの違いも分かってほしいと思っています。
 この、テキストとパフォーマンスの問題が実は日本におけるシェイクスピアの受容という問題に関係してきます。日本と地理的にも時代的にも遠く離れた外国作品をいかに受容するのか。そこには翻訳という問題も隠れています。
 こうした問題を認識してもらうためにはやはりテキストを丹念に読むことが大事です。日本の作家たちがどのような言葉つきで書いているのか、そこに作家たちの個性も現われていて、彼らのシェイクスピアという偉大な作家に対するいろいろな思い入れも読みとれるので、その点を理解してもらいたいと思います。

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