
6月10日に国立劇場で開催された「歌舞伎鑑賞教室」に1年生が参加しました。
国文学科では毎年新入生歓迎の文化行事を行っています。今年は、6月10日に国立劇場で開催された歌舞伎鑑賞教室「連獅子」でした。参加した1年生の声を紹介します。
学生N・Mさん
私は今まで、歌舞伎とは初心者が見るには難しく、又日本の伝統芸能であることから劇場に見に行くにはハードルが高いものであると思っていました。しかし、今回の歌舞伎鑑賞教室で現役の歌舞伎役者さんの解説や連獅子を見て、そんなイメージも払拭されました。
まず歌舞伎鑑賞教室の前半、歌舞伎や連獅子についての解説では、舞台の説明や演目について面白さを交えながら説明していただき、今まで全く知らなかった歌舞伎の世界への興味がそそられました。とくに、舞台は奥行きが20mあるということを聞いたときには、その広さに驚くと同時に、そのような広い舞台に飲まれることなく存在感を示す解説者の坂東巳之助さんに、歌舞伎役者さんも伊達ではないなと思いました。
まず1つ目に印象深かった点は、とても激しい動きにも関わらず顔色一つ変えず舞っている歌舞伎役者さんの姿です。動いている最中は疲れた様子を見せることもなく息があがることもなく優雅に舞っていて、あまりハードな動きではないのかと思うほどでしたが、小獅子役の方が花道に胡座をかいて座った際息を切らしていたのを見て、相当ハードな動きなのだと実感すると同時に、それを感じさせないところに脱帽しました。 2つ目の印象深かった点は、上下の空間の使い方です。というのも、今まで私は、歌舞伎では立つ、跳ぶ等の上の空間での動きしかない者と思っていました。しかし、実際は座ったり寝転がったりと下の空間を使った動きもあり、驚いたと同時に印象に強く残りました。
学生K・Yさん
私が、歌舞伎鑑賞教室で印象に残った点は3つある。まず一つは、「歌舞伎のみかた」である。解説の坂東巳之助さんの明るく親しみやすい語り口に引き込まれた。一方的に話すのではなく、観客をうまく巻き込みながら話しており、聞いていてとても楽しかった。加えて、TVなどで日本舞踊を見ているとき足踏みする音が、よく響くのは何故かと疑問に思っていた。それゆえ、舞踊を踊る際は特別な床を強いて踊ることが分かったのは大変勉強になった。
次に、印象に残ったのは、中村又五郎・歌昇親子の息がぴったりと合った踊りである。とくに狂言師に扮しているときの踊りが素晴らしかった。キビキビとした無駄のない動き、二人のシンクロする動きが素晴らしかった。
三つ目は、親子の獅子の精の豪快な毛振りである。毛振りは有名な踊りゆえ、私も知ってはいたが、劇場で実際に踊っているのを鑑賞するのは始めてであった。まず、その迫力に圧倒された。花道のすぐそばに座っていたため、獅子の精の毛や豪華な衣装の華やかさがよく感じられた。親子の獅子の毛振りは、リズミカルな三味線の音や百花の王とされるボタンの花のあでやかさもあいまって大変華やかでおめでたい、時代を超えて愛され、受け継がれてきたのがよく分かる舞踊であった。
学生Y・Mさん
私は歌舞伎を見るのはこれで2回目でした。初めての歌舞伎は、高校1年生のときに同じくこの国立劇場で見た「壺阪霊験記」でした。「壺阪霊験記」は盲目の主人公と若い妻の物語で、派手な部分はないものの面白かったです。「壺阪霊験記」がストーリー仕立てなのに対して、今回の「連獅子」は舞がメインに据えられており、こういった歌舞伎もあるのだなと新鮮に感じました。見る前にあらすじを確認したらあまり場面につながりを感じず、ストーリーがなければ一体どこに面白みを感じればよいか、少し不安になっていました。しかし、俳優さんを輝かせるための演目であり、舞こそが見所だということを知り、ストーリーに頼らず、自身の魅力だけで客を集めることができるのはすごいなと思いました。
最初の舞では親獅子と子獅子の掛け合いがとても鮮やかで、目が離せませんでした。途中、子獅子の俳優さんが飛び上がって座る動きがあり、高い位置からあぐらの姿勢で着地するのは痛くないのだろうかと少し心配になりました。そのときに俳優さんの背中が上下しているのを見て、激しい動きで息が切れるだろうに、それを表現に全く見せていないのがやはりすごいと思いました。
学生T・Iさん
中学生の頃、修学旅行で能を見たことがあったのですが、歌舞伎は今回初めて観て、とても楽しかったです。今回見た連獅子は歌舞伎のお芝居のなかでも有名なものだったらしく、最後の親獅子と子獅子が髪を振るシーンは私も知っていたので、そのシーンを見たとき興奮しました。
今回の歌舞伎を見て印象に残ったことは、小道具の多さと衣装の色鮮やかさです。歌舞伎では獅子の頭を使って獅子が遊んでいる様子や花も使って花と戯れている様子など、その場面ごとの様子が分かりやすく表現されていました。また、歌い手の人と三味線、笛の音があっていてとても迫力のあるものになっていて驚きました。笛の音を聞いたとき、物語の雰囲気がより引き立ったのを感じて、ひとつひとつのものにちゃんと意味があるのだなと思いました。次に、色鮮やかな衣装です。能の衣装は色が暗く紫や濃紺が多く、明るくても淡い青色や紫色でした。その点、歌舞伎は役者と奏者・歌い手・お手伝いさんと着る衣装の色が違って、また役者の着る衣装は、親獅子・子獅子にあわせて赤と白を基調としていて、その色に合うように金や緑・朱色を使っていて煌びやかだと思いました。
学生S・Mさん
私は一度、高校生のときにも授業の一環で歌舞伎教室に行ったことがありました。そのときには2階席で舞台があまり見えず、寝てしまっていたので面白かったなどと思ったことがありませんでした。日本の伝統芸能であるし、興味があるはずだったのにあまりよい思い出がないというのは国語教員を目指している者としていかがなものだろうかと思い、いつかまた見に行こうと思っていたので、今回の歌舞伎はだいぶ楽しみでした。
いざ、歌舞伎についてのお話が始まると、そこから私の記憶とは大きく異なっていました。歌舞伎のセットや演目についてのお話を聴いてとても面白かったです。話し方なども、さすがプロの方だなと思いました。
親獅子が花道から出てきたとき、お香のような香りがしてとても印象に残っています。子獅子が一番前まで行って後ろ向きに裾の方まで下がってきたのもすごかったです。なにより、親子の獅子が長い毛を叩き付けたりするところは本当に格好よく、圧巻でした。
学生N・Oさん
歌舞伎を鑑賞したのは初めてでした。中学の音楽の授業で少しだけ見たことはあったのですが、その当時はなぜ音楽の授業で歌舞伎を見せられるのかが理解できませんでした。歌舞伎は内容が難しく、どちらかというと芸術よりも文学的なイメージの方が強かったからです。
しかし、今回の鑑賞教室でイメージが変わりました。たしかに、内容をすべて理解するのは難しいのですが、連獅子の公演前に解説や見所の説明をしていただき、作品に入り込みやすくなりました。「連獅子」が獅子の親子の話だということが分かっただけで、内容もすんなり頭に入ってきました。また、演者の方も本物の親子でいらっしゃるということで、そこにも注目して鑑賞できたかなと思います。
内容については、僧の二人が言い争う場面で笑ってしまいました。自分の宗派のほうが優れているとむきになって言い張るところが現代にも通じるものがあると思い、面白かったです。しかし僧の二人が去った後の獅子の舞いには、とてつもない迫力を感じ圧倒されました。私は花道の近くに座っていたのですが、風がこちらまで伝わってくるくらい激しい舞で、すごいなと思いました。