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著書紹介

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松丸東魚蒐集印譜解題

  • 著者:高山 節也(二松学舎大学文学部)
  • 出版社:株式会社二玄社
  • 菊判 640頁(図版:モノクロ2頁、カラー96頁)12,600円(税込)
  • ISBN:978-4-544-01392-4
  • 2009年1月発行

著書の内容

 松丸東魚、本名は長三郎、昭和を代表する篆刻家のひとりで、明治34年、日本橋の魚問屋の五男として生まれました。後に篆刻家として自立し、秦漢古印の印風を中心に学ぶ正統古典派として、高い評価を得ました。特にそうした印風の資料として、多量な印譜を所蔵しましたが、それらを書誌学的な方法で分類解説したのが本書です。

 印譜(簡単に言えばハンコの図録)は極めて異例の書籍として、書誌学的方法に適合しないという考えもありますが、同名異本の印譜もあり、印譜間の影響関係や親子関係に関わるものもあり、書誌学的方法を導入する余地は十分あると考えています。

 本書は、「中國之部」「日本之部」「東魚自刻自選印譜之部」の三部にわけ、各印譜については外形的な諸要素の解説から、内容の特徴、編著者の略伝等、詳細な解題を加えてあります。また印譜は図録の一種ですので、実際の写真も多数掲載して理解の助けとなるよう工夫しました。さらに東魚自著の「古鉨印の收藏家と其印譜」、私の「中國印譜―整理の要點と指針」の二本の論文を掲載して、東魚自身の印譜観や書誌学的印譜の見方を理解していただくための手掛かりとしました。

研究上の資料としても活用できるように、末尾に人名索引と書名索引をつけてあります。内容の構成は以下のとおりです。

  • 『松丸東魚蒐集印譜解題』の成立の經緯―序にかえて―
  • 凡例
  • 中國之部
  • 日本之部
  • 東魚自刻自選印譜之部
  • 古鉨印の收藏家と其印譜
  • 「中國印譜」―整理の要點と指針―
  • あとがき
  • 索引

 印譜という書籍自体が一般によく知られた類の文献ではありませんし、書誌学という学問も人口に膾炙していませんが、本書は二松学舎大学附属図書館にもありますので、是非手にとってみてください。印譜が美しい文献であるのにあやかって、本書もなるべく美しい装丁を心がけています。背表紙と扉の文字は、全て東魚自作の木活字を使っています。篆刻家が凝り性なのは当然として、実は私も凝り性かも……。(文学部中国文学科 高山 節也)

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