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著書紹介

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詩経・楚辞

  • 著者:牧角悦子(二松学舎大学文学部)
  • 出版社:角川書店
  • 角川ソフィア文庫 ビギナーズクラシックス 中国の古典
  • 2012年3月発行
  • 文庫版 219頁 781円(税別)
  • ISBN:978-4-04-407227-8

著書の内容

 中国最古の詩集である『詩経』と『楚辞』を、初心者向けに解説した入門書です。二〇〇〇年以上の長い歴史を持つ中国文学の、最初の作品集という意味では、果てしなく古い歌であるにも関わらず、今なお読み継がれているのには、現代人にとっても共感を呼ぶ普遍的な感情が、そこには歌いこまれているからだと思います。『詩経』については、テーマ別に詩を挙げ解説を附しました。『楚辞』は全体像の説明と、比較的短いいくつかの篇を紹介しました。

『詩経』は、中国最古の詩集という側面と同時に、漢代以降は儒教の経典として尊ばれた経緯もあります。中国古典を読む際に、時代によって解釈が変化し、解釈そのものが思想となっていくことも、『詩経』の解釈史を通して解説しました。

『楚辞』は、『詩経』に比べて多くは知られていません。しかし中国に限らず日本には、この『楚辞』の熱烈なファンは確実に存在します。現実と理想とのはざまで、高い志を掲げて抗い苦悩した高い精神性を歌い上げるこの南方歌謡は、特に戦後の文人たちの間に強い共感を産みました。『詩経』とは違う文学の原点が『楚辞』にはあるのです。

執筆に当たって

 中国の古典を、誰にでも分かりやすく読んでもらいたい、という出版社の要請から生まれたビギナーズクラシックスのシリーズは、古典の格調を保ちながら、且つ最新の学術を踏まえ、しかし専門家以外の一般の読書家、それも若い読書子への古典への誘いを第一義に置く一連の入門書です。学術性と分かりやすさを備えたものを書くということは、我々研究者にとって、最もやりがいのある仕事です。自分自身が古典詩歌に対して持っている敬意と愛着を、素直に表現しようと努めました。

学生へのメッセージ

 私はこれまで『詩経』に関する紹介や訳注書を複数世に送りました。そのような中で、今回の書物は、そのどれよりも楽しく、一気に書き上げました。それは、いま目の前にいる学生たちに、古典を知って貰うのにとても便宜だと思ったからです。普段の講義で話をするように、中国文学科だけでなく、国文や政経の学生にもわかってもらえるように、この中国古典の中でも最高の成果の一つを、なるべく分かりやすく、解きほぐしたつもりです。古典の好きな人、文学への憧憬を抱く人に、是非読んでいただきたいです。(文学部中国文学科 牧角 悦子)

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